地球温暖化に対するベン&ジェリーズの考え方
私はビジネスマンであり、世界で最高の仕事であるベン&ジェリーズのCEOをつとめています。
みなさんはきっと数字を見るのが大好きだと思われるでしょう。
でも正直言って、私は報告書を読むよりも、ベン&ジェリーズのスタッフと直に会話する方が好きなんです。
私が温暖化のことについて真剣に考えるようになったきっかけは、息子との会話でした。彼は、私の世代があまりにも無茶苦茶なことをしているので、自分の世代が成人になる頃には、世界は取り返しのつかない場所になっているのではないかと心配していると言いました。
これは次世代に残す遺産として最悪のものであり、この会話は、そもそも私がベン&ジェリーズでの仕事を始めた理由の核心に触れるものでした。
そして環境保護論者であり、バーモント出身のBill McKibbenから「これまで書いた中で最も重要なメール」が送られてきたとき、 私はそこに書かれている数字に圧倒され、何とかしなくてはと思いました。彼の雑誌『Rolling Stone』の「地球温暖化の恐るべき新たな数字」(Global Warming’s Terrifying New Math) という記事において、McKibbenは、私たちが引き起こした温暖化の危機の深刻さを物語る3つの数字、そして私たちがやらなくてはいけない重要な変革に焦点を当てていました。
- ・摂氏2℃ - これは地球にとって、絶対に守らなくてはいけない最終ラインです。大気の温度が2℃をこえないようにしなくてはなりません。さもないと、未来がありません。
- ・5,650億トン - これが私たちの資源許容量です。科学者によれば、最初に挙げた数字、摂氏2℃以内に温暖化を抑えるには、今世紀が終わるまでのCO2排出量を5,650億トンに抑えなくてはならないそうです。今のようなやり方では、その資源はわずか14年で使いきってしまいます。
- ・27,950億トン - これは最も恐るべき数字です。石炭、石油、天然ガスの埋蔵量に基づいて計算すると、排出予想されるCO2の量がこの数字です。これはさきほどの許容量の5倍です。化石燃料業界は、このすべてを燃やしつくしててしまおうという意図をもっていることは明確です
私たちは、企業としてこれらの数字を時間をかけて吟味しました。そして直ちに温暖化への取り組みを行わなければ、地球に未来はないということが分かりました。
いまは、貧しく声をあげることのできない人々に対して温暖化が与えている影響を誰もが他人事のように感じているひどい時代です。
彼らは住み慣れた家や畑を追われ、上昇する気温の矢面に立たされているのです。これは温暖化について考える時に、いちばん重視されるべき点です。
この問題に対処していくには、世界中の人々の努力が必要です。でも、私はこのことにワクワクしています。温暖化がもたらす混乱から抜け出すためには、私たちはすべてを考え直す必要があります。そこにはたくさんのことがあるので、すぐにでも、ひとつひとつ取り掛かりたいところです。ベン&ジェリーズでは、20種類のフレーバーのライフサイクル分析(LCA)をちょうど終えたところです。
その中で、私たちのアイスクリームが環境に及ぼす影響を、乳牛、梱包、その他に加えられるすべての成分に至るまで、徹底的に検証しました。
このデータを基に、環境への影響を少なくするために最も効果的かつ可能な手段をとりたいと思っています。
LCAについての詳細、およびカーボンフットプリントを削減するためにベン&ジェリーズがおこなう解決策については、こちらをご覧ください。
そこには、2020年までに100%クリーンエネルギーに移行するという親会社・ユニリーバとの提携計画があります。
私たちと温暖化を解決しようとする技術・プロセス・イノベーションはwin-winの関係であり、そこには経済的かつ社会的なメリットを生み出す可能性が秘められています。
ベン&ジェリーズはこの目的を実現するために、ビジネスモデルへの投資を再度行います。
そして、私たちの酪農農場からブラウニーメーカーまでにいたるまで、すべてのパートナーと真剣に協力関係を築きます。
ベン&ジェリーズだけのCO2削減量では、まだ足りません。変化をもたらす最も大きな可能性は、私たちのファンである皆さんの中にあるのです。
世界のリーダー達に行動するよう呼びかける、グローバルな運動が必要です。昨年9月に行われたニューヨーク市の「People’s Climate March(温暖化の解決を求めるマーチ)」では、一般の人々が支持し行動することで、真の変化をもたらすことができるということを目の当たりにしました。
12月には世界のリーダーがパリに集まり、温暖化にまつわる目標値を守るための試みについて会議が行われます。 その日に向けて、私たちは影響力を強化していく必要があります。これまで政治のリーダーが及び腰だったことを指摘し、確実に実行するよう要求する必要があります。
私たちは2015年に、ベン&ジェリーズ初のグローバスケールでの温暖化キャンペーンを開始します。
パリでの会合が、温暖化に関する現実的なアクションを提起して終わることができるよう、そのために世界35カ国以上のファンの皆さんが行動を起こすことができるように、私たちがサポートします。
もちろん、キャンペーンの中には楽しいこともありますが、温暖化の危機を解決するということでは、一歩も譲らない真剣な姿勢で臨みます。
この運動のために、私たちは皆さんを、そしてさらに何百万もの人々に参加してほしいと思っています。
ベン&ジェリーズが温暖化の目標値を守るために必要だと考えている提案については、こちらをクリックしてご覧ください。
http://www.benjerry.jp/values/issues-we-care-about/climate-justice
ベン&ジェリーズの創始者であるBen Cohenの言葉に、“If it’s melted, it’s ruined.(溶けちゃったら、困るから)”というものがあります。 私の大好きなフレーバーであるチャンキーモンキーにも、私たちの世界にも、同じことが言えるのです。
Peace, Love & Ice cream!
Jostein Solheim